タイズプレゼンテーション

夢中の深層~インタビュアー川邊健太郎~

第二回 永田寛哲さん 僕の人生を変えたアイドルが教えてくれたこと

追っかけの魅力はアイドルから反応を得ること

川邊:モーニング娘。の追っかけ界でコイタさんは有名になるわけなんですけども、アイドルの追っかけっていうのは、要するにどういうことなんですか?何が最大の魅力なんですか?

永田:これも段階を踏んで行き着いた結論なんですけど。いろいろ意見はあると思うんですが、僕が熱中したのは、メンバーから反応を得るということなんです。アイドルから認識してもらって、何かしらの反応を得る。「レス」っていうんですけど、レスというものを得られたということに対する快感ですね。

川邊:いわゆる、「反応厨(はんのうちゅう)

永田:そうですね。アイドルからの反応を求める人間を反応厨(はんのうちゅう)と言うんですよ。

川邊:少なくとも、コイタさんのアイドル追っかけ道の最高の快楽は、反応厨(はんのうちゅう)なんですね。

永田:そうですね。最終的にはそこに行き着きました。

川邊:具体的に言うと、どういう反応が来た時に幸福感を感じるんですか?

永田:例えばなんですけど、曲の途中とかにステージ上から、指を差されたりするときですね。オタクの世界では「指差し」と言います。

川邊:コイタさんに差してくるんですか?振り付けの中で?

永田:そうですね。振り付けの合間に差してきます。だいたいお客を煽るような振り付けになっているので、誰かしらには指を差すことになるわけですよ。そこで指を差されることを「回収する」って言うんです。

川邊:なるほど。その指差しを自分に向けさせるんですね。

永田:そうです。

川邊:快楽もあるし、やたらコイタさんにレスがきて回収しているのを他のファンが見ると、「コイタさんすげえ!!」みたいになりますか?

永田:正直、僕はすごかったわけじゃないと思うんですけど、そういうのも含めて楽しいんだと思います。

川邊:どうやって、レスを回収していけるようになるんですか?いっぱいファンがいるわけですよね?一般のお客さんもいれば、そういう追っかけをしている人も。

永田:まずはとにかく認識してもらうことが大前提ですね。そして認識してもらうためには、なるべくアイドルの視界に入らなきゃいけないんです。

川邊:基本なんですね。

永田:例えば、今の時代はAKB48とかほとんどのアイドルは握手会があったり、ファンと交流ができるので、そういう場所に足しげく通えば、覚えてもらえるじゃないですか。

川邊:今はそうですよね。

永田:だけど、当時のモーニング娘。って、そういった握手会のようなイベントはほとんどしてなかったんですよ。だから、覚えてもらうためにはライブを前の方で見るしかないんです。

川邊:ステージの前で見て、顔を覚えてもらうわけですね。

永田:そうです。それで、「あの人、なんでいつも前の席にいるの?」とアイドルも興味を持つじゃないですか。そこで、ひたすらその子に対してだけ応援している姿勢を見せることで、「あの人、私のすごいファンなんだ」となるんです。

川邊:ライブに行くだけなら出来ますよ、チケットを買えば。でも毎回、前の席に行くっていうのは難しいと思うんですが?

永田:なので、チケットをなるべくたくさん手に入れるようにしますね。

川邊:とにかく前の方の席を毎回手に入れて、ライブに参加して「ワーー」っと応援して、顔を覚えてもらうわけですね。

永田:そうです。

川邊:そうすると、レスを回収できるようになってくるんですか?

永田:これも今は文化がだいぶ違ってきているんですけど、当時は「ボード」という文化があったんですよ。

川邊:ボード?

永田:要は、カンペですね。テレビ番組でADさんが持っているようなものです。

川邊:はいはい。

永田:そのボードを後ろの人に邪魔にならない範囲であれば出してもいいんです。

川邊:何かメッセージが書いてあるんですか?

永田:そこに、わりと直接的にメッセージを書けば、確実に自分に対しての反応かどうか分かるんですよ。指差しとかだと誰に向けたものか分からないんです。自分に向けての指差しじゃないのに「俺がレスもらった」と勘違いするのを「脳内」っていうんですよ。

川邊:「あいつ、脳内ばっかりじゃん」みたいな。

永田:それもそれで楽しいんですけど、もっと確証を得たいので・・・ファンがよく「◯◯ちゃん、好き!」って書いたうちわ持ってるじゃないですか。僕みたいになってくると、そういうんじゃなくて、もう本当になんでもないようなことの反応を得るというのが快感になってくるんです。例えば「アイスクリームは何味が好き?」とボードを出すんです。「1.バニラ、2.チョコ、3. ストロベリー」って3択で出すんですよ。そうすると、苦笑いしながらアイドルが手で「3」って出してくれるんですよ。質問にレスしてくれるんですね。

川邊:「うわー!レスが来た!!」ってなるんですか?

永田:「こんな、くだらないことにレス送ってくれる!」みたいな感じですね(笑)

川邊:踊りながら合間に「3」とか言ってくれるんですか?

永田:それは踊りながらではないですね。MCの途中とかに返してくれます。そういう意味だと、やみくもにレスをもらおうとしても、それは迷惑行為になるんです。例えば、「ここは集中したい!」「ここは真剣な曲で踊らなければ!」という時にレスを貰おうとしてがっつくと、「この人、空気読めてないから、ずっと無視してよう」ってアイドルはなっちゃうだろうなって思っています。

川邊:空気を読んで出さないといけないわけですね。

永田:ひな壇にいる時とか、暇そうにしてる時、あるいはこの曲は演出上、レスを与えたいんだなという曲の最中に、一生懸命ボードを出します。

川邊:一挙手一投足を見て、「ああ、今暇そうだ。」とか、反応ありそうだって時に、バッと「アイスクリームは何味が好き?」とボードを出すんですね。

永田:そうです。で、そのタイミングを把握するために、ツアーってだいたい同じ様な立ち位置で何公演もやるじゃないですか。なんで最初の1公演は様子見をしますね。

川邊:レスをもらうのに、いつが空いてそうなんだと様子見するんですね。

永田:何曲目は、どこの位置にいて、いつ暇そうか、みたいなのを分析するんです。それで総合的に見て左側の方が7:3で良いなってなると、その席を求めて行ったりもしますし、場合によっては、1公演の中でも移動します。

川邊:それは何枚もチケットを持ってるんですか?

永田:だいたい、友達と同盟関係みたいなのを結んでいます。

川邊:それぞれのお目当てのアイドルがいるんですね。ファン同士で「席、交代しようぜ」ということになるんですね。

永田:そういうのがありますね。

川邊:僕がコイタさんから聞いた話ですごく好きなのは、「次は2階」とアイドルにボードで伝える話なんですけど。あの話をもう1回してくれないですか?

永田:普通、2階だと見つけてもらいづらいですよね。事前情報がないと、その場所にいるというのをアイドルに発見されないんで、予告しておくんです。

川邊:1つ前の公演で予告するんですか?

永田:1つ前の公演で、「次はここらへんに座るよ!」っていうのを伝えておく事によって、なるべく早期に発見してもらうんです。

川邊:それで実際、2公演目は2階で反応をもらえたんですか?

永田:たぶん発見はしてもらえました。

川邊:そこは思い込みじゃなくて?

永田:はい。

川邊:でも、別に2階なんて行かずに良い席を取ればいいんじゃないですか?

永田:どう頑張っても良い席が取れない時ってあるんですよ。そういう時の苦肉の策ですが。

川邊:一説によると、最終的にはライブにコイタさんが行くと、アイドルがステージに出た瞬間に、コイタさんに挨拶してたという話を伺いましたが?

永田:え?そんなことありましたか?

川邊:「どーも!」と挨拶をしたという話を聞いたんですけど。

永田:いや、さすがにそれはないですよ。僕、そんなこと言ってましたか?

川邊:周りの人が言ってましたよ。

永田:僕は、そこまでのオタクじゃないですよ!

かつてのオタ心を引き戻したAKBという存在

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