タイズプレゼンテーション

夢中の深層~インタビュアー川邊健太郎~

ゼロから始めた地球一周分のロードムービー

山田:次に、それぞれのプロダクションのマネージャー達も交えて、僕たちも事務所に所属している俳優なので、どういうことをやろうとしているのか、という意図を話しました。「こういうことをやろうとしているんですけど、やらせてもらいたい」と、今度は自分達の事務所に対してプレゼンを。

川邊:それも全部撮ってあるんですよね。その会議の様子も。

山田:撮っています。

川邊:ちなみに、たくさんモノ作りをされていると思いますけど、事務所の人を説得するシーンからカメラを入れて、みたいなことをしたのは初めてですか?

山田:もちろん、そうです。最初の頃は、映像制作ってどういうふうにしたらできるのか、というのも見せたいと思っていたので。「やりたい」と言ってやってないやつが多いので、じゃあそういう時にどういうプレゼンをしたら良いのかとか、どうやって事務所の人間に納得してもらえば良いのかということとかも、一応そうやって映像を作りたいとか、俳優で何かもっとやりたいっていう人だったら勉強にはなるだろうなと思っていたんで。

川邊:なるほど。二人とも「自分がさらに成長するためにはどうしたら良いんだろう」ということを普段から考えているんですか?

内田:僕の場合は、どうしたら自分が成長できるのかっていうことを考えているわけじゃないと思うんですけど、まだやったことのないことに対しての好奇心は強いと思います。

川邊:山田さんは、常に「自分はこう変化したい」とか思っているタイプなんですか?

山田:変化したいっていうことはないですけど、とにかくやったことのないことをどんどんやりたいです。飽きちゃうんで、同じことやっていると。「これ、やったことないな。やってみたいな」と思ったら、それを実現するにはどうしたら良いかを考えて、実現までもっていって。そうやって新しいことをやっていると、また新しいことができて。それをずっと繰り返していろいろとやっている感じです。

川邊:事務所の人を説得する、みたいなのもそういう形で?

山田:そうですね。「きっと面白いものになるし、これはやるべきことだと思うので、是非協力してもらいたい」と。そのためには事務所にいろんな仕事のスケジュールを調整してもらわないといけないので。しかも、2週間って旅(ロードムービー)で考えたら相当短いですけど、こっちで仕事している人間からすると、2週間空けるために他のを全部ずらす、前後にまとめるっていうのは結構なことなんですよ。

川邊:大変なことですよね。一発で両事務所ともOKしてくれたんですか?

山田:一回何かあったよね、ダメかもみたいな。

内田:うん、あった。でも、わりとマネージャーさん達が協力してくださってスケジュールは合いました。そんなに時間がなかったので、「ここで合わなかったらもう無理かも」っていう一点狙いだったんですよ。

川邊:それは二人の情熱にほだされて周りが調整してくれたのか、情熱も来たし「企画も面白いね」という感じになったんですか?

山田:企画は「何やるんですか?」くらいです。「何これ?」みたいな。

内田:僕は「やめた方が良いんじゃない?」っていう意見が事務所サイドからありました。

山田:危ないっていう。マネージャーも付かないんで。二人で行って、向こうは一人で迎えてくれて、僕ら三人で動くってことなので。

内田:そういうのを言葉だけで「本当に僕たちマジでやろうと思っているんです」って言うのって、墓穴を掘る可能性とか、余計に疑心暗鬼にさせる可能性が高いじゃないですか。会議とかやって、テンションをマネージャーさん達に見てもらって、「ちゃんと考えているんだな」と思ってもらえれば話が前に進むし。企画書ができあがった時にはシェアさせてもらうようにして。

川邊:積極的にどんどん企画の進捗とかも見せながら、「大丈夫だよ」と。

内田:ちゃんと真剣に。そういうところで実は学んだこともあって。初めて企画書用の文章とか書きました。スケジュールもそうなんですけど、僕、Excelの使い方全然わからないんですよ。

川邊:なるほど。そういうところから始まるわけですね。

内田:教えてもらいながらExcelでスケジュールを作って、大学生の後輩とかに直してもらって。

川邊:本当にもうゼロから。

山田:あとは予算がないから、二人行くだけで精一杯。かなり移動したんですけど、全部エコノミーで。それでもかなりカツカツで、人を一人増やすなんてことは元から無理でした。

内田:人を一人増やすことで、100万円くらいは出費することになるので、そうするとロケが一つ潰れるみたいなことになるんですよ。一人の会いたい人に会えなくなる。それは本末転倒だなって。だから、制作会社を入れた方が良いっていうアイデアも出たんですけど、やめました。

山田:制作会社の人がいたって、危ない場所は危ないからね。やられる時はやられるから。

内田:あと、そっちの方が身軽。動きも人数が多くないから、逆に目立たなくて良いというのもあって。むしろ安全だったんです。

川邊:結果的には安全だったんですね。

内田:その意味をわかってもらうために、企画会議をするところからマネージャーさんにも同席してもらって、やっぱり協力してもらわなきゃいけなかったし、理解してもらわなきゃいけなかったんで。

山田:旅をしながらインタビューする企画に落ち着いたんで、じゃあ誰にインタビューするかっていうのと、あとはどこにいる人か。やっぱり行くからにはなるべく画変わりが欲しいんで、西海岸もあれば東海岸もあって。南米のコロンビアとか行ったら全然違うから。

川邊:アテはあったんですか?この人に会いたいとか。

山田:基本、知り合いです。僕が去年知り合った人は日本人とコロンビア人のハーフで、コロンビアでラーメン屋さんをやっているという。

川邊:それを出しあって、リストを作って。

内田:そうです。それでオファーして、それこそフェイスブックだったりメールだったりで。

川邊:そういう交渉も、通常の商業作品だったら他の方がやるところを二人でやったんですね。

海外で自ら道を切り拓いている日本人を訪ねて

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