川邊:のちに旦那さんとなる方は、3.11に関して行動を起こされていたと聞きました。
大木:震災の1年前に彼の研究チームが、それまでリアス式海岸の三陸の地域だけに起こると思われていた津波が、仙台平野や福島のかなりの内陸まで来る可能性を指摘していました。
川邊:それは、どのように発見したのでしょうか?
大木:津波が来た時に、黒い物がバーっと走っていったのを覚えてらっしゃると思います。あれは海の泥を巻き上げて、平野に海の泥を運んできているんです。つまり逆に言うと、過去に津波があると海の成分が平野の土から見つかるわけです。古文書に「すごい津波があった」と書いてあったので、彼の研究チームが実際に掘ってみたところ、ものすごい量の海の成分が見つかり、かつて巨大津波が起きたことがわかりました。ひじょうに重要だということで国もすぐに成果を取り入れ、2011年4月にそれが公表される予定でした。
川邊:すんでのところで間に合わなかった。
大木:ええ、実際には国が発表してから自治体が対策を取るともっと時間がかかるので、彼らは2011年3月末に知事に直接説明にあがったり、住民にポスティングで知らせたりする予定だったそうですが、たった数週間、間に合いませんでした。