川邊:今日は「ブラック企業研究」に夢中の、ブラック企業アナリスト・新田龍さんにお越しいただいております。
新田:よろしくお願いいたします。
川邊:いつ頃から活動をされているんですか?
新田:2008年頃に『ブラック企業アナリスト』という肩書きを作って、自ら名乗り始めたというのがキッカケになります。
川邊:その頃、『ブラック企業』という言葉はあったんですか?
新田:存在はしていたんですが、流通はしていなくて。一部のIT系の下請けエンジニアの方々が、自分たちの環境を自虐的に言っていた業界用語的な存在でしかなかったですね。
川邊:10年でしっかりメジャーになりましたね。具体的にはどう言う活動をなさっているんですか?
新田:会社の仕事としては、表仕事と裏仕事がありまして。表仕事の方は、国とか大手企業さんから依頼を受けて、労働環境を良くするためのコンサルティングですとか、講演、研修などをやっております。裏仕事の方は、「ブラックなことをやっている悪い会社から、こんなことやられてしまった」というトラブル相談がくるんですけども、その解決を。対個人、対法人いろいろあるんですけど、そういったものを手がけていて。弁護士さんとか裁判所に駆け込んでも、どうにもならない案件を、解決に導くアドバイスをしています。
川邊:実際にそういう被害者、社員側の立場となって、ブラック企業と渡り合ったりするようなこともあるんですか?
新田:ありますね。そもそも対処方法が分からないとか、証拠がなくて裁判にもっていけないとか、弁護士費用が払えないとかっていうことで、泣き寝入りせざるを得ない案件っていっぱいあるんですよ。それは個人の場合でもありますし、企業間取引でも起こり得るんです。例えば、契約書を結んで商品を売ります、買いますとなっているんですけど、商品を納品したのにお金を払ってくれない。そういったトラブルもあるわけですね。
川邊:じゃあブラック企業というのは、「社員に対してひどい」という以上の範囲を持っているわけですね。
新田:言葉の意味だけを考えると、よく世間に流通しているブラック企業のイメージでいうと、「使い潰される会社」という感じですかね。労働時間が長くて、低賃金で、社長がワンマンでみたいな環境のこと。私なりの定義としては、自分たちの私腹を肥やすために、法律違反や悪いことをわかってやっているアンフェアな会社というニュアンスも含めています。そういう会社を撲滅したいという思いでやっています。弁護士と協働して、チームを組んで、やっている悪事をバラして、証拠を揃えて裁判を有利に進めるとか、当局に告発して合法的にビジネスを止めさせるとか。そういうことをやっています。
川邊:ところで新田さんは、常にサングラスを?
新田:一応、オープニングくらいはインパクトを残そうかなと。宣材写真や講演の登場のときとかもこういう感じにしています。
川邊:やっぱり渡り合う上で必要ですか。
新田:これ外すと、目が優しい感じなので。威圧感が与えられないという。悪い会社や悪い弁護士のところに乗り込むときには、大抵この感じでいきます。