川邊:民間でいろんな地震予知とかやってて、結構みんな信じちゃったりするじゃないですか。そういうのはどう思ってますか?
大木:いつも思うんですけど、地震がいつ起きるかとか、どこで起きるのかってことばっかりみんな気にするんですよね。でも、地震はいつでもどこでも起こるんですよ。一方で、起きたらどうなるかはわかってるんです。テロじゃないですから、ひじょうに明瞭に、地震が起きたら地面が揺れる、っていうことがわかりきっている。だから、対策は取れるんです。いつとかどことかはわからなくても、取るべき対策はわかっているんです。対策を取っておけばいつ起きたっていい、っていうふうに発想を転換してもらわないと。
川邊:具体的にこれだけはやっておいた方がいいこと、絶対に伝えておきたいことってありますか?
大木:まず、耐震性のない家には住まない。1981年に耐震基準法が変わったので、それ以前に建てられた家は耐震診断が必要です。自治体から補助金も出るので是非活用してください。それから家具を固定すること。どんなに新しい家に住んでいても、家具は倒れてきます。医療関係の方に伺ったら、全身の筋肉の30%が家具に押さえ付けられていたら亡くなるんです。その時は普通に喋れるのに、救出されてしばらく経つと亡くなっているんだそうです。クラッシュ症候群(体の一部が長時間圧迫され、その解放後に起こる様々な症候)って言うんですけど、体の30%の筋肉って片足なんですよ。
川邊:片足程度が圧迫されてただけで死んじゃう?
大木:結局、家と家具。これで9割の方が亡くなってるんです。
川邊:家の耐震対策は経済コストが大きく、心理的にやりたくない方もいるのではないでしょうか。
大木:2階建ての家の場合、2階で寝るという方法もあります。家が崩れた場合、2階がそのまま1階に落ちるケースが多く、家具をすべて1階に引越しさせておけば、生存確率は高まります。
川邊:家具の配置を変えるだけでもかなり変わるんですね。