川邊:一番肝心なところなんですけど、誰に会ってきたんですか?
内田:えっと、まず(インタビューの模様を撮影しているケン・シノザキ監督を指差して)彼のお父さん。
川邊:監督のお父さん?何をされている方なんですか?
内田:製粉会社です。
山田:天ぷら粉とか。
内田:わさびやそば粉もそうですし、そういう製粉物で和食に関係するプロダクトを、他社のブランドが作る物も含めて製造しています。アメリカで製造している日系の食品用の製粉会社では一番大きい会社をやっているんです。
山田:70%だったっけ?
内田:そう、70%くらいシェアがある。ガレージでちょっとした物を作るところから、一代で全米№1のシェアの工場にした20年間のそのストーリーを聞きにいきました。
川邊:二人はこうやってインタビューされることは多いでしょうけど、するってことはあったんですか?
山田:ないですね。
内田:ないです。
山田:そもそも、質問案がなかったもんね。
内田:知り合いに会って、自然に聞きたくなったことを聞かせてもらう感じで。向こうにも「インタビューだと思わないで、何か一緒にお茶を飲むような感覚で来ていただければ十分です」っていう話をしました。
川邊:じゃあ、最初に経営者の方にお話を伺って、そこから?
山田:その日、二件の取材を入れていたんだよね。
内田:ああ、そうだ。そのあとは西海岸でアートギャラリーをオープンさせた友達。アーティストなんですけど、自分のやりたいギャラリーショップをオープンするまで、いろんなプロダクトのプロデュースとか、そういうことをしていた人で。
山田:メイドインジャパンのジーンズとかを、アメリカでプロモーションすることをやっていたりとか。
川邊:初日、二人に話を聞いたあとは移動したんですか?
山田:次の日はボストンでした。ボストンに行ってインタビューしたのがジン、今度は(ケン・シノザキ監督の)弟なんですよ。
川邊:監督の弟は何をしているんですか?
山田:ヒューマンビートボックスってご存知ですか?
川邊:ああ、その映像は拝見させて頂きました。あれ、すごいですよね。
内田:世界チャンピオン、昨年度の。今年はついこないだ出て、3位に。
山田:生で観るのは初めてだったんで感動しました。YouTubeとかでは観たことあったんですけど。
内田:驚くんですよ。「すごい」ってなっちゃう。
山田:あとはもう、発想。どういう音があったら面白いか、その音をどうやったら出せるのかっていうのを考えて、新しい音が生まれていっているんだと思います。
川邊:家では1人で練習しているんですか、弟さんは?(※撮影中の監督に質問)
ケン:だいたい家で練習しています。シャワーで歌いながら、ビートボックスやっています。
内田:彼、もともとはドラマーで、ドラムが本当にすごくてバークリー音楽専門学校まで行った人で、実はビートボックスは始めてまだ3年なんですよ。
川邊:3年で世界チャンピオン?
ケン:今が4年目だと思います。
内田:たぶん、彼にすごく合っていたんだと思います。あとはドラムをやっていたから、リズムの引き出しの数がすごいんですよ。フィルとか、構成、曲のリズム構成。
川邊:ボストンに行って、ジンさんの話を伺って、次はどうしたんですか?
内田:ニューヨークに移動しました。
山田:画変わりが欲しかったので、電車で行きました。本当はもう一日(ボストンに)滞在するつもりだったけど、ジンがニューヨークの映画祭でパフォーマンスがあるっていうので、じゃあ、それに合わせて僕らも行こうって。
川邊:移動とかも、当然撮って。
内田:そうです。実はボストンでは一緒に曲も作りました。
山田:なんかこう、最初から決めていたんだよね。会った時に、ギターとか持ってきてもらって、ヒューマンビートボックスやって、そこで番組のテーマ曲みたいなものを作ろうと。
内田:その場でジャムして。
川邊:じゃあその曲は、今回使えるわけですね。
山田:それで映画祭も撮ったけど、ニューヨークに行こうとしたもともとの目的は中鉢さん。
内田:中鉢明子(ちゅうばちあきこ)さんというモデルの女性がいて、アフリカでバックパッカーをしていた子なんです。「アフリカで野宿しても全然平気だよ」みたいなバイタリティーがあって、でも危なっかしくないんですよ。亡くなった飯島愛とやっていた番組に参加してくれていた人だったんですけど、すごく魅力的だったのを覚えていて。その子がいろんな縁があって、ニューヨークにいて。
川邊:数年ぶりに会ったって感じですか?
内田:3年ぶりに会いました。今は結婚されていて子供もいるんですけど、過去にはシェルターといういわゆるホームレスが収容される施設にも住んだことがあるような子で。その子の話。
川邊:半生を聞くみたいな。
内田:彼女、自分が苦労していたという感覚がないんですよ。全部、面白い出来事なんです。
山田:住んでいる場所が、ハーレムって黒人の人ばっかりの街だから、それも面白い。インタビューして、ハーレムを…。
内田:散歩したね。日本人はほとんど住んでいないと思うんですけど、ものすごく彼女は受け入れられていて。街の人が話しかけてくるんだよね。
山田:家族みたい。
川邊:どこでもやっていける方なんでしょうね。
内田:旦那さんもアフリカ系の方で、すごく頑張って、タクシードライバーから今はセレブとかの人達を乗せるリムジンの会社の社長さんで。アメリカの居住権を取って、自分の会社を立ち上げた時に、中鉢さんにプロポーズして。格好良い人なんですよ。