タイズプレゼンテーション

夢中の深層~インタビュアー川邊健太郎~

第四回 柳生一彦さん 動物園・水族館を支える陰の立役者が抱く野望

オーパ!展を通じて出会った芥川賞作家・開高健

川邊:この世界、いろんな若い人が怪魚ハンターとかやっていたりして、僕にもそういう友人がいるんですけど。みなさん、開高健さんのことが大好きで、尊敬しているんですけど、お仕事を一緒にされたことがあるんですか?

柳生:『オーパ!』っていう本がベストセラーになったので、当時東京は伊勢丹、大阪はちょうど西武デパートがオープンした記念イベントで、『開高健のオーパ!展』を開催したんですよ。それで実際に『オーパ!』に出てくる珍獣とか怪魚を生きたまま展示すると。

川邊:なるほど。

柳生:ところがその当時、動物の調達は動物園出入りの大手の鳥獣会社がやったんだけど、「飼育できる人間が大阪にいないから誰かいないか」と問屋を通して紹介されました。「3週間、飼育を引き受けてほしい」って言われて行ったんですよ。当時、まだ19~20歳だったので、絶対に展示中の動物を殺さないという条件で仕事を引き受けました。

川邊:柳生さんが抜擢されたわけですね。

柳生:ところが企画会社の人が、動物をテレビ局に持ち出したいと言い出しました。しかし、持ち出されると輸送中にストレスが溜まって死ぬ可能性が高いからそれはやめてほしいって行ったら、「お前が口出す問題か」と言われました。実質、クビですよね。それで、開高さんに「クビになります」って言ったら、開高さんが企画会社側をクビにして。それ以降は『オーパ!展』の魚のメンテナンスをすべて任せてくれました。

川邊:そんなことがあったんですね。

柳生:そのあと、『オーパ!』の企画で世界一周して、またブラジルに戻るという話もありました。アフリカで開高さんがナイルパーチを釣るから、ナイルパーチの生息場所を調べておいてほしいという依頼があったけど、結局実現しませんでした。

川邊:お亡くなりになった。良い方でしたか?

柳生:そうですね。僕みたいな若者にも優しかったですね。

インターネット普及前後の動物業界の裏側

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