タイズプレゼンテーション

夢中の深層~インタビュアー川邊健太郎~

第四回 柳生一彦さん 動物園・水族館を支える陰の立役者が抱く野望

インターネット普及前後の動物業界の裏側

川邊:トレジャーハンターの稼業はインターネットとともに変わってしまったという話があるみたいですね。

柳生:インターネットが出てきて、情報がダダ漏れになったんです。するともう日本のお客さんは自分の部屋のコンピューターでちょっと検索すればヨーロッパの問屋の値段、アメリカの問屋の値段がぜんぶ出てくるわけですよ。そうするとお客さんが、「アメリカでは1万円で売っているから、1万5千円にしてよ」とか言うようになってきて。

川邊:いままでは、そういうことがわからないから、柳生さんが値段をつけていたのに、価格下落が起きたわけですね。

柳生:お客さんは簡単に言うけど、輸送中の死亡率とか通関手数料とかそういう情報を知らないんですよ。そういうことを知らないで「アメリカやヨーロッパと同じ値段にしてくれ」とか勝手に言ってくる。

川邊:その前の時代で、一番儲かったのはなんですか?

柳生:やっぱり爬虫類ですね。日本ではミドリガメと言われているアメリカアカミミガメ。大体、3月くらいにアメリカで卵が産まれるので、春の出先だと1匹80円くらいで売れるんですけど、これが夏の夜店が出る季節になってくると、もう小さいものがいなくなるんですね。夏祭りっていうのは、一番ミドリガメの需要がある。一番需要があるときに、一番数が少ない。それで思いついたのが強制冬眠。

川邊:また新しい言葉が出てきましたね。

柳生:要するに、部屋をひとつ潰して、思いっきり加湿器をかけながら思いっきり冷房するっていう、ものすごく矛盾したやり方。それでミドリガメを強制冬眠させます。

川邊:成長させないということですね?

柳生:完全冬眠じゃないので、ある程度、餌は食べるんですよ。毎日餌を少しずつ入れて、だけど低温なのでそんなには食べない。餌は週に一度でいいんですよ。だからそんなに排泄もしない。

川邊:それで縁日の夏の頃に、出荷するんですね?

柳生:春の倍の値段で売ります。

川邊:エリマキトカゲもずいぶんよかったそうですね。

柳生:エリマキトガケもそうなんですけど、オーストラリアの国内法では禁止されているんです。当時、あまり知られていなかったですけど、展示していたのはインドネシア産ですからね。エリマキトカゲという名前だけで出していて、オーストラリア産とはうたってなかった。詐欺ではないんですけど、実際には展示していたのはインドネシア産だったんです。

川邊:大ブームになりましたよね。

柳生:そうです。何匹か持っていたので、日本中に出張しましたね。ワニみたいに冷凍されたら困るから、国内線の座席をもうひとつ取ってエリマキトカゲが乗るんですよ。カゴに入って、シートベルトをして。

川邊:大事なタレントですもんね。それはどこに行くんですか?

柳生:大分のデパート行ったり、福岡行ったり、宇都宮行ったり、徳島県行ったりね。 まあでも長く続かなかったですよね。

川邊:でも儲かったんじゃないですか?

柳生:そうですね。そのあと、エリマキトカゲを仕掛けた人が、第2弾を狙いました。「これもくると思うから、在庫持っといたほうがいいよ」と言われて。

川邊:なんだったんですか?

柳生:ウーパールーパー。それもまあまあいけたんですよ。

川邊:ブームでしたよね。第3弾はなんだったんですか?

柳生:ハリネズミのプンクック。

川邊:それは知らないですね。

柳生:そうでしょ。もうそのへんからダメになりましたね。

川邊:すごいですね、動物業界。

カンボジアの街・クラッチエとカワイルカの関係

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