タイズプレゼンテーション

夢中の深層~インタビュアー川邊健太郎~

第六回 樋口卓治さん 「今、観たい」と思わせる番組を1分でもつくりたい

帰り道を映しちゃう女子高生のモチベーション

川邊:今、なにか新たにやってみたいものづくりってありますか?

樋口:今後…。新しいテレビ番組を作って、新しい小説を書いてっていう繰り返しでまだいいです。もしこれにネットが入ったら、ちょっと自分の中で取り乱すんじゃないかなと思うんです。

川邊:ネットはどう捉えているんですか?特にテレビとネットっていうのはいろいろな諸関係を言われてますけど。

樋口:便利なものっていうイメージが多いです。

川邊:ツールっぽい?

樋口:そうですね。だからうちの子どもなんか見てると、昔はタダじゃないものが、ネットのおかげでどんどんタダになっていくっていうのは、「便利で羨ましいな」って思うところもあれば、ちょっと失ってるものもあるじゃないですか。いわゆる日記帳、「今年なに買おうかな」って昔は思ったんだけど、「なに買おうかな」がなくなってるのはちょっとかわいそうかなとか。

川邊:コンテンツとしてはやっぱり異なるものなんですか?

樋口:そうですね。僕の場合は「こんな映像が流行ってるよ」とか。なんか石橋を叩いて、みんなが盛り上がったところに、のこのこ出かけていくみたいにしか、まだ使えてないです。そこの先頭にはまだ立ててないから。

川邊:なるほど。

樋口:そこを意識すると、こんがらがっちゃうだろうなと思います。ネットで流行ることを考えようという意識が自分の中に入ってくると、テレビと小説とネットでいっぱいいっぱいになってくるんじゃないかなと思います。

川邊:死ぬほど忙しい中で、新しい要素を入れちゃうと身体が持たなくなっちゃいますよね。

樋口:そこをうまくやってる人いるじゃないですか。放送作家の中でも。そういう人の話とか、川邊さんのそういうネットとの付き合い方を聞いてみたいです。

川邊:もうリズムでしょうね。ネットが生活のリズムに入ってる人と入っていない人がいて、リズムに入っていれば。呼吸のようにやれるんで。リズムに入れるかどうかでしょうね。

樋口:それって、何に似てます?「スポーツジムに通おう」って感じに近いんですかね。

川邊:友達とのコミュニケーションじゃないですかね、リズムで言うと。ちょっと友達に電話しようとか、今でいうとメール自体がインターネットですけど。メールで面白いこと言ってやろうとか。そのリズムですよね。いまインターネットで個人のライブ放送っていっぱいあって。仕事柄、この前も観ていたんですけど、普通の女子高生が帰り道、自分で放送しちゃってるんですよね。「いま、帰り道なんだけど。友だちと二人で帰ってるんだけど、今日こんなことあってね」みたいなのを放送してて。それを80人くらいが観てるんですよ。「ただの帰り道やん!」て観てる側はツッコむんですけど。だけどそれはリズムですよね。帰り道っていう、ただの。それがコミュニケーションですよね。

樋口:コンテンツだとクオリティーとかそういうイメージが出てきますもんね。そっちじゃなくてコミュニケーションなんですね。

川邊:そうですね。フローしてっちゃうんですね。ストックされない。どんどんフローしてっちゃうリズムがネットに、最近浸透してきたっていう感じです。

樋口:さっきの帰り道を映しちゃう女子高生のモチベーションっていうか、なんで自分を撮っちゃうんだ?っていうことは考えなくなってるんですかね?

川邊:彼女たちは考えてないでしょうね。我々が解釈をすると、「ああ、みんなで一緒に駅まで帰ってたあの楽しいやつを、時空を超えて80人でやってるんだ」っていう解釈。

樋口:そういうのって僕ら古い人間だと、自意識とか自我が強すぎるんじゃないかとか。自分の中になにかストップがあるんですよ。「なんで昨日食べた寿司をみんなに知らせなきゃいけないんだ」っていうのもあるし、「ここはね、美味しかったんだよ」っていう気持ちもあるし。

川邊:家族とか親友とかとそういう話は昔からしてましたよね。ここのお寿司は美味しかったとか。そこの延長でしかないっていう。

樋口:そこのキャパシティーが広くなれるかの違いなんですかね。

川邊:広かったり、リアルと非リアルを分けている心がないっていう感じですよね。まあ多くて50~60人しか観てないですから、その範囲。

樋口:それはすごく自分の中では興味あるところで、そこに対する揶揄とか、揚げ足取りみたいなのをこれまでネタにしてきたんですよ。「こんなやついるよね」って。そしたら今そこのルールがどんどん、おっしゃってるように平たくなったときに、揚げ足取ったりすることからネタが作れなくなるんじゃないかって思うことがあるんですよ。

川邊:みんな優しくなっているので。なんかそういうシニカルとかニヒルみたいなものを面白いと思う感覚が退化してくる可能性が…。

樋口:それって、まあ良い悪いということじゃないと思うんですけど、昔はちょっとオシャレすると、「なにめかしこんじゃってるんだよ」っていい意味でも言えたじゃないですか。そういうことをスルーというか、気に留めなくなってくると「いいのかな?」って思うことがあるんです。

川邊:それはまあ、そういうのがあった時代の人の感覚なんでしょうね。「良いも悪いも、そんな感覚ないんだもん」みたいな感じになってしまって。たぶん、樋口さんよりも前の時代の方々からすると、テレビっていうのが出てきたら考えない人間が増えて、みたいな。

樋口:そうですね、同じようなこと言ってますね。

川邊:こんな世の中よくないんじゃないかって心配してたけど。まあそんな悪くなってないですよね。それと同じ心配を勝手にこっちがしてるっていう。

樋口:警鐘を鳴らしているつもりが、勝手にこっちがイライラしてるだけかもしれないってことですよね。

川邊:懐古主義な可能性もありますね。

樋口:そっか。たぶん自分がそこの瀬戸際にいて、また仕事になってリズムになれば。

川邊:リズムに入れるかどうかが一つの決断になるんじゃないかと思います。

樋口:あとはリズムに入れない親父の話を小説に書こうかってなっちゃうかも知れないです。

『報道ステーション』の最後の挨拶を超えればいい

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