タイズプレゼンテーション

夢中の深層~インタビュアー川邊健太郎~

第八回 中野信子さん 考える喜びを失わずに生きるということ

企業トップの5人に1人はサイコパス

川邊:近著は『サイコパス』という本が出て、ものすごく売れているそうなんですけど。

中野:この本は、川邊さんとの約束を果たすことができたという意味もあって、少しほっとしました。川邊さんと初めて会ったときに、川邊さんが「自分の周りには変人がいっぱいいて、そういう人がどうもビジネス界を牽引しているように見えるんだけども、その人の分析をしてくれよ」という風におっしゃったことをすごく覚えていて、いつかまとめないとと思っていたんです。

川邊:あまりにも変な人が多いんで、周りに。

中野:私もそれは興味があったので、いろいろと文献を当たったりしていくと、一般には100人に1人ですとかそれより少ないかもしれないと考えられているサイコパスが、企業のCEOにはなんと5人に1人もいるという調査がされているんですよね。

川邊:サイコパスというのはどういう人なんですか?

中野:サイコパスは、一言でいうと共感性に欠けた人です。つまりオキシトシンが効きにくい人といってもいいかもしれない。そういう人にはどういったメリットがあるかというと、全部、合理的に処理できる。状況判断も的確ですし。普通の人が「可哀想だから、この人のクビは切れないな」と思うようなところを、逡巡せずにあっさり切ったりしますね。

川邊:まあやりますよね、経営者。

中野:冷たく見えても、それが結果的には集団のためになったりするわけですよ。企業のトップには必要な能力かもしれないです。こういう能力を、社会に活かしている人は本当にサイコパスの能力を活かしているということになるんです。ただ、そううまく活かせない人たちもやっぱりいて、反社会的な行為をして罰されてしまうという人ももちろんいます。DSM-Vという精神障害の診断基準のマニュアルがあるんですけど、これにはサイコパスというのは無くて、「反社会性人格障害」という風に分類しているんですね。反社会性人格障害というのは社会に反する犯罪行為という意味もありますし、集団に対して協力的ではない逸脱行為をしがちだという側面を持つ人格障害です。サイコパスの大まかな特徴という風に言えばわかりよいかもしれないですね。

「DSM-V」
アメリカ精神医学会が出版する、精神障害の分類の基準を著した書籍。

川邊:共感性が無いゆえに、良い方向に行けば非常に客観的な判断が出来て、集団の意思決定に貢献することもあれば、悪い方向に行けば反社会的な行動を取るようになってしまうと。

中野:この反社会性をもった人というのは、みんなが社会に閉塞感を持っているときに、その社会を壊してくれる人なんじゃないかと期待を集めることがあるんですよね。「この人だったら、いま自分が抱えているこの状況を打破してくれそうだ」という、みんなの支持を集めて、非常に高い位置につくことがあるんですよね。トランプ大統領の選ばれた仕組みは、こうなんだろうと思います。トランプ大統領も、サイコパシーの高い人なんじゃないかなと考えたのはそのためです。

川邊:見るからにそうですよね。そうすると時代の閉塞感を突き破る人も、サイコパスの可能性もあると。

中野:その能力の高い人が、少なくともみんなの期待を集めるという構図ができるんだと思います。

川邊:歴史上の人物とかでもそういう人が?

中野:しばしば例に出すのは織田信長。普通は自分にいくら反対したからと言って、自分の妹が嫁いだ先の義理の弟の頭蓋骨を切って杯を作るなんてやらないじゃないですか。

川邊:共感性ゼロですよね。

中野:そうですね、冷たいし、残虐ですよね。あとは研究ベースでいうと、アメリカ歴代大統領の振る舞いなどから分析している人たちがいて。その研究によると、サイコパシーの特徴の一つである「フィアーレスドミナンス」というのがあって「大胆不敵な支配性」とか、「恐れ知らずの支配性」って訳されるんですけど。自分が怖いもの知らずに相手を支配していこうとする傾向があるんです。

川邊:普通は怖くなるんですか?

中野:普通は「相手からリベンジされたらどうしよう」とか、「こんなんじゃ支持率落ちるんじゃないか」とか不安になるものでしょうけど。サイコパスは不安にならずに、自分がこうだと思ったことを実行して、なんならそれに反対する人を排除するみたいなことを辞さない。歴代の大統領でいうと、実はケネディやクリントンが結構高かったと言われていますね。

川邊:ケネディはまさに第二次世界大戦後の閉塞感をぶち破るべく現れた大統領だから、サイコパスが人気を集めちゃう構図としては、まさにその構図ですよね。

中野:クリントンも、アメリカの経済力が弱まっていたときに復活させた人ということで、いまでも評価が高いですけど。やっぱりアメリカが自信を無くしていたときに、その自信を再び彼が持たせてくれる、打破してくれるというので、支持を集めた。

川邊:現にクリントンというのは共感性が低かったり、大胆不敵な行動をとっていた大統領だったんですか?

中野:その部分へのフォーカス以上に話題になっていたのが、すごく性的にアクティブでスキャンダルがいっぱいあるということでした。最近でも「クリントンが黒人女性と関係を持ったときの子どもです」という人が名乗りをあげてきたりして。その性的にアクティブであるというのも、サイコパシーの高さと相関があるんです。

川邊:普通、アメリカ大統領の地位とのトレードオフでそういうことを止めようとしますもんね。その変のリスクを恐れない、計算できないところとかも。

川邊:そういう普通の社会を維持しようとする人たちからすると、明らかに問題のある人が、なんでここまで生き延びているんですか?

中野:サイコパスとしての、個体としての生存戦略も素晴らしかったでしょう。ただマイノリティではあるから、この人たちがマジョリティになった社会というのは、消えてきたのかもしれない。だけれどもある一定の割合に保たれていれば、社会の新陳代謝を促す存在として、機能した可能性がありますよね。

川邊:人類全体で見ると、一定数そういう人たちがいた方が良い方向に動いていったからそういう人たちの遺伝子が残っていったと。

中野:そうですね。共生と言う感じかもしれませんね。ただ、友達に持ちたいタイプかと聞かれたら、ちょっとご遠慮願いたいかなと。

川邊:一昨日も典型的なそういう人から電話がかかってきて。びっくりするようなこと言うんですよ。

中野:常識的にはやらないことを言うんですよね。あの本を出した後に、感想をいただくんですけど「あの人、そうじゃないかと思ってたけど、やっぱりそうだった」という感想がほとんど。でもその中には、「僕はそうじゃないかと思ってたんですけど、この本を読んで納得いきました」という声もあります。

川邊:その辺の人たちに救いの手を差し伸べちゃってますよね。それで犯罪にいくよりかは「自分はそういう使命のある人間なんだ」と思って。そっちの方に行くという救いがあるかもしれないですね。

中野:みんなができないことを、僕はやっているんだという。

脳科学者としての原点は「自分」と「世間」のズレ

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